京都市伏見区にある世界遺産の醍醐寺。豊臣秀吉が晩年行った、「醍醐の花見」で有名なお寺です。
上醍醐・下醍醐あわせて、200万坪の広大な敷地をもつお寺です。

花見だけじゃない、秋の紅葉も
春のお花見の印象が強いですが、紅葉も魅力的です。
なぜかといえば、話はさかのぼって、秀吉のお花見。
秀吉は、「醍醐の花見」を1年前から計画していました。
1年前に、石田三成や前田利家と下見にきます。すばらしいところだということで、次の年、大規模なお花見を企画します。
1年の間に、新たに桜の木を700本移植してきます。そして、山の中腹に8つ茶室を作って眺める趣向で、お花見をします。
醍醐の花見での招待客は女性ばかり1300人。その女性たちは2回の衣裳替えのため、1人3着の着物が新調され、京都の経済効果は現在価値で39億円だったとか。
今では考えられないようなスケールの大きさに驚くばかりです。
ちなみに、8つあった茶室が、現在は三宝院内に移築されています。
秀吉が果たせなかった紅葉狩り
花見が成功した秀吉は、次に紅葉狩りを計画し、三宝院の庭をつくったり、もみじなどの木々を植えたりします。
結局花見の年の夏にこの世を去り、紅葉を見られませんでしたが、そのおかげもあり、紅葉のトンネルなど紅葉スポットもたくさんあります。


今は緑の葉も着々と色づく準備をしています。
今年も、秀吉が見たかった紅葉がもうすぐやってきます。
まだまだある、醍醐寺の魅力
醍醐寺の下醍醐にある、三宝院がやはり見どころ。
秀吉が自ら手掛けた庭は、長寿の象徴、鶴島と亀島があったり、2つの滝が流れ、水の音も心地よいものです。

聚楽第にあった名石、藤戸石が中心にあり、見る角度によって表情を変える、スケールの大きなお庭です。

わたしが感じた演出の違い
滝の音が響きわたり、広がりのある庭を観た後、ちょうど裏側にあたる歴代のトップである座主のための部屋である奥宸殿・茶室の松月亭側にまわると、こちらは静寂です。

流れる水もちょろちょろとした音に、苔が広がります。小さくも落ち着く、しっとりとした雰囲気です。
そして、奥宸殿内にある天下の三大名棚のひとつ、醍醐棚があります。

この棚は壁にくっついておらず、透かし彫りが入っています。
それだけ見るとわかりにくいですが、くっついていないので、ロウソクを灯すと、透かし彫りが壁にうつる演出効果があるそうです。
これは見てみたくなります。
影がうつる効果はなにかの演出に使えそうです。
そして、秀吉が好きだった苔の盃と瓢箪もかわいらしかったです。

また、京都府内最古の国宝五重塔があります。

京都は東寺の五重塔が有名ですが、こちらは、静かにどっしりと建つ美しさがあります。
建築の構造上も一番下を1とすると、上層の面積が0.61の逓減率で、安定感を感じます。

その時、見ていて気になった、京都市内4つの五重塔くらべは、こちらに。

仏像も国宝・重要文化財などたくさんいいものがあります。
NHK Eテレで、如意輪観音坐像や五大明王像など紹介されます。ご興味のある方はご覧ください。
「趣味どきっ!」ーアイドルと巡る仏像の世界ー第7回「かわいいの始まり」
初回放送:2020年10月19日(月)21:30~21:55
再放送:2020年10月26日(月)11:30~11:55
広大な敷地を、ゆっくり歩きながら、秀吉のスケールの大きな美の演出を感じてはいかがでしょうか。
紅葉もたくさんあって、今年の紅葉も待ち遠しいです。