Design Week Kyotoレポートの第3弾は、引箔(ひきはく)を製造する「西村商店」さんです。
引箔とは、西陣織に使用されるもので、和紙の上に金箔などを張り付け、それを糸状に切ったものです。
これを、織物の横糸として織り込んでいきます。
わたしも少し前まで知らなかったんですが、織物は絹糸だけではなく、
紙を細く切った糸状のものを織り込むこともあるということです。
第2弾でレポートした、桝屋髙尾さんのように、織物をつくられているところで、実際に使われます。
引箔ができるまで
引箔に使われる和紙は、三椏(みつまた)という種類で、お札に使用されているものと同じです。
ただし、紙の繊維がお札はランダムなのに対して、引箔は横方向のみです。これは、糸状に切っていくためです。
引箔は、45㎝×60㎝の大きさでつくられ、通常、織物でこれが4~6枚くらい必要になるそうです。

引箔は、紙の上に漆を塗り、金箔や銀箔などを張り付けたり、焼きを入れたり、
わざと和紙を手でもみ込んで、しわを作った上で色を入れたりと、製法はさまざまです。
実際に現場では、金箔(下の写真:左)と銀箔+黄色を混ぜた箔(下の写真:右)の違いをみせてもらいました。

また、吹き付けなどを行う部屋では、外へ金箔などが飛ばないように、換気扇と水を滝のように流して対策をされているそうです。
下の写真の奥の茶色っぽい壁から水が流されます。

こうして、出来あがったものを、切屋さんにて、糸状に細く裁断されて、織物にしようされます。
なお、糸状に切る時も、1本1本がばらばらにならないように、両端は切断せず、くっついた状態になっています。

見学してみての感想
引箔というものを初めてみて、その色や柄、製法の多さに驚きました。
同じ材料をつかっても、光っているものとトーンをおとしたもの(さびているという表現をされていました)など、
本当に多彩なものが作り出されています。
ここまで手間のかかった引箔をさらに、織物の中に織り込むと考えると、
とても長い旅路を経て、織物ができあがっていることがわかりました。
最近では、織物向け以外に、美術品や小物などにも使われているようで、
その製法を活かした、新たなものづくりがされていくのが楽しみです。