DESIGN WEEK KYOTO2020レポート、その5は、松栄堂さんです。
松栄堂さんは、老舗のお香やさんです。
お店には何度か行ったことがありますが、工房は初めてです。
今回は、お線香の製造現場を見せていただきました。
お香には、直接火をつけるもののほか、香道で行われるように、炭で灰を温めてその熱で香りが出るものもあります。
形もさまざま、お寺で使われる長く太いもの(1本で6時間もつ、下の写真茶色の一番長いもの)もありますが、材料はどれもあまり変わらないそうです。

お線香の香り=スパイス
材料は、白檀(びゃくだん)や伽羅(きゃら)といった香木に、さまざまな香料を加えて作られます。
ここで驚いたのが、香料とスパイスの共通性。
料理で使うスパイスがそのまま香料になっています。

言われてみれば、スパイスも香りをつけるために入れるので、当然と言えば当然ですが、身近なものに親近感がわきます。
たとえば、ウコン(上の写真 左上)、シナモン(上の写真 左下)、グローブ(上の写真 右下)、中華料理で使う八角などがあります。
ちなみに、社内で香りの調合をされる方は2名のみ、ブレンド割合などもこの方たちのみがご存知だそうです。
材料を混ぜて、生地をつくる
これらの材料と色づけの染料、固めるために、椨粉(たぶこ)と呼ばれる、水と混ぜると固まるものを入れて、20~30分混ぜます。

ここで、水をどのくらい入れるかが難しいところだとか。
柔らかい方がその後の作業はしやすいですが、硬い方が火のつきがよいそうで、そのバランスのいいところをとるのは経験値だそうです。
形を整える
そのあとは、パスタマシーンのように、上から出てきたものを板にのせていきます。

触ってみると、柔らかくゆでたそばのようでした。

これを定形サイズにカットします。


乾燥
その後、乾燥させます。乾燥すると少しずつ隙間があいてくるので、寄せながら、2~3日乾燥させます。
包んで完成
最後は、包装です。1本1本曲がっていないかなど、検品しながら、和紙で包んでいきます。

見学しながら、昔の写真も見せていただきましたが、100年前くらいと作り方はほとんど変わっていないそうです。
見学してみての感想
まず、材料として使われている香料が料理でも使うスパイスだと知り、同じ材料が違う用途で使われているのが面白いと思いました。
そして、お線香の作り方も、スパゲティを生地から作るようなイメージで、とても親近感が持てました。
香りについては、今まであまり興味を持てなかった分野ですが、
香りの材料を見たり、お話を聞いて、香りの調合の仕方によって、さまざまな香りが生み出されるので、香りを生活に取り入れるのも楽しいかもと思えてきました。