きもののことをいろんな角度から知りたいと思い、きもの学・京都という講座を受けてきました。
5日間連続、90分×3講座、着物の作り手や売り手だけでなく、研究職の方も含め、さまざまな講師の方がお話しされ、
一般募集のきもの好きの方々、大学生の方々と聞く側も年代もさまざまな中での受講になりました。
きもの学・京都についてはこちらを見てください。

カリキュラム
(敬称略)
回数 | 講義テーマ | 講義内容 | 講師 |
1 | ガイダンス | 素材や技術、道具など伝統工芸の観点から、きものについて概説をします。「麗しききもの文化」という全体テーマについてアプローチする、各講師の講義内容をも紹介します。 | 京都産業大学 文化学部教授 下出祐太郎 |
2 | 基礎的なきものの知識 | きものの名称、きもの帯の種類、小物の選び方などをわかりやすく解説します。 | 三宅てる乃アカデミー校長 三宅てる乃 |
3 | 呉服屋おやじの独り言 | きものの楽しさ、きものの魅力を身近な事例を通して解説します。 | ㈱ゑり善代表取締役 亀井邦彦 |
4 | 結びのお話 | 西陣織の帯から「着る」という行為に託された人々の願いや思いについてお話しします。 | ㈱西陣坐佐織代表取締役 佐竹美都子 |
5 | きものが語るものがたり | 写実的な舞台背景や装置を用いない能楽の演出においては、装束が登場人物のアイデンティティを表現する媒体となります。本授業では、能楽の舞と物語における装束の機能を考えます。 | 京都産業大学文化学部准教授 ペレッキア・ディエゴ |
6 | 皇室のキモノ | 明治の時代、宮廷装束は和装から洋装へと大きな変革を遂げました。この決断がいかに大きなものであったのか、当時の歴史的背景とともに、皇室のキモノをテーマにお話しします。 | 京都産業大学日本文化研究所特別教授 彬子女王殿下 |
7 | 正倉院の染織品 | 実際の現場の整理・調査に関するエピソードを通して、日本の染織・服飾文化の源流と言われる正倉院の染織品の全体像を説明します。 | 正倉院染織研究家元宮内庁正倉院事務所研究職技官 整理室長 尾形充彦 |
8 | 皇室の儀式と装束 | 古代以来、多様な変遷を経ながらも、宮中で用いられてきた公家・女房装束は、「伝統」を視覚的に象徴する役割をも担いながら、近代以降の皇室にも引き継がれました。今秋行われる即位の御大礼で用いられる装束を中心に紹介します。 | 学習院大学非常勤講師 田中 潤 |
9 | 家紋をたのしむ | 家紋を含む日本の紋章のデザインは非常に優れ、その名称も実にうまく出来ています。家紋について詳しく解説します。 | ㈲染色補正森本代表取締役 森本景一 |
10 | 手描き友禅 | 手描き友禅の魅力を成り立ちから現在の役割りまでを、もの作りの立場から解説します。 | 羽田工房 羽田登喜 |
11 | 蚕糸業の現状と絹文化 | 蚕糸業の衰退は日本の染織文化の危機でもあります。かつて高品質の絹の輸出で近代日本を支えたわが国の蚕糸業の現状ときものに代表される絹文化について考えます。 | ㈲西尾呉服店代表取締役 西尾仁志 |
12 | 西陣機業の生産・流通の仕組みと動向 | きもの・帯地の最大産地、西陣機業。その品種・工程や、原料・製品取引、織屋・関連業者などを紹介します。 | 京都産業大学理事長 柿野欽吾 |
13 | 悉皆 | 「悉く皆」と書いて悉皆。きものの加工、お手入れなどのお話をします。 | テラムラ店主 寺村貞亮 |
14 | 和装が日本の未来を拓く | 京都市の伝統産業や施策を紹介しながら、和装振興のヒントについて考えます。 | 京都市産業観光局商工部伝統産業課担当課長 井上悦道 |
15 | まとめ
| 全15回の講義を振り返り、日本の伝統衣装としての麗しいきもの文化についてまとめをします。きものを身近に着る生活文化、令和の新たな時代のきもの文化について考えます。
| 京都産業大学文化学部教授 下出祐太郎 |
あまりにたくさんの新しいことが吸収でき、終わるとどっぷり疲れましたが、
いろんな面で学びとなることが多く、充実した時間になりました。
そこで、これをまとめつつ、特に印象的だったことなどを書いていこうと思います。
写真撮影等、不可だったので、文章だけの紹介になります。あしからず、ご了承ください。
今回、一番興味深く、おもしろいと思ったことは、着る物というのは、一見してわかるものである特質から、
例えば、身分を表したり、文様に思いや願いが込められていたりと、現在はデザインや色などファッション性が重視されますが、
もともとは、言葉で表さずともわかるものを示すものだったということです。
これに関連するお話として、次のコラムでは、彬子女王殿下の「皇室のキモノ」、学習院大学の田中先生の「皇室の儀式と装束」について書いていきます。