今回も、きもの学・京都での講座から、特に印象に残ったお話を。
作り手の方のお話として、とてもおもしろかったのが、
羽田登喜さんの「手描き友禅の魅力」というお話です。
羽田さんの祖父は人間国宝の羽田登喜男さんです。
親子三代での着物を作る工房のお話がとても楽しかったです。
羽田さんのところは、通常の分業制ではなく、1社ですべてやるものづくりをされており、
スケッチから始まって、着物のデザインを決め、下絵を描き、染めないところにのりやロウをおいて、染織していきます。
これを繰り返して、同じ図柄を最初のスケッチから数えると6回くらい描く(もしくは、なぞる)そうです。
本当にたくさんの手間がかけられて、ひとつの着物になります。
祖父の登喜男さんが金沢の出身で、加賀友禅の工房で修行されていたことから、
京都でつくられていますが、加賀友禅の影響、例えば、ぼかしを使うなどの特徴があるそうです。
最新技術を取り入れた挑戦
新鮮だったのは、最近インクジェットで染めるやり方にもチャレンジされていることでした。
手描き、インクジェット、それぞれの特徴があり、うまく活かしたものづくりに取り組まれています。
ちなみに、インクジェットは、あらかじめ設定した図案にしたがって、布に染料を吹き付けていくような形で染まります。
インクジェットは、例えば簡単に色が変えられるというお話をされていました。
先日、マンガ家の方も、手書きとデジタルの話をされていて、
デジタルだと色が簡単に変えられるし、やり直しができるといったことをおっしゃっていて、同じだなあと思いました。
その時も、どう使っていくかはまだ模索中だと言われていました。
たしかに、手描きのよさ、風合いといったものもあるでしょうし、デジタルだからできることもたくさんあると思います。
ある意味、デジタルが入ってきたことで、手描きを改めて考える機会になっているとも思います。
これから、どんな作品ができていくのか、どう使いこなされていくのか、楽しみです。
美意識を養う
また、消費者である方々の見る目が厳しいほど、作家も育つというお話で、
美しいものをみて、見る目を養うことの大切さを説かれていました。
小さい頃から習い事はするけれど、美術は習ったりしないけれど、
美しいものを見る目も、小さい頃から積み重ねによって、養われていきます。
周りに小さい子がいたら、一緒に美術館に行ったりして、「どれが一番好きか? どこが好きか?」というゲームをしたり、
美しい景色に出会ったら、きれいだねといい合えるような、そういうふうになっていってほしいと言われていました。
たしかに、そうだなあと納得しました。
大人になっても、やはり美しいものやいいものを見るということは大切だと思います。
身近でできることでもあるので、これから、美しいもの探しをしていこうと思います。