京都迎賓館記、最終回は、京都迎賓館のさまざまな名品の中でも気に入った逸品をご紹介します。
まずは、正面入口を入って、最初の部屋である聚楽の間に行くまでの廊下にある、照明。

折り紙のイメージだそうで、新しさも加わった、家にも置きたくなるライトです。
次は、聚楽の間の、ソファ横においてある竹工芸。

細かな柄で、中が透き通って見て、繊細です。また、面によって柄が変わり、螺鈿(らでん)も入っています。

しばし、見入ってしまいました。京都迎賓館の中でも特に好きな作品です。
次は、藤の間にある、舞台の手前の扉にほどこされた、截金。

近づいてみると、本当に細かくて、綺麗です。

この截金は人間国宝が作られており、他の場所にもありましたが、細かく綺麗でため息が出ました。
ちなみに、この舞台の扉の截金を行うのに、自宅の工房では大きくて入らず、
南禅寺の境内の一角を借りて、そこに仮設で工房をつくって、制作されたそうです。
次は、和室の桐の間です。

ここでは、スリッパを脱いで、廊下に敷き詰められている実際に使われていた畳を歩いたり、座ったりできました。
畳がとてもしまっていて、堅い感じがしましたが、長い間座っていても心地よかったです。
そして、目を引くのが、漆の机。

見事なつやで、12m。爽快です。
これを作る時、力加減が変わると、デコボコになってしまうので、12m一気にかんなで削られたそうです。
そして、天井の杉も12m。

部屋が広々として見えます。
こんなに長い木材を探すのに苦労され、結局吉野杉が見つかったそうですが、
あまりに長いので、山から木材を運ぶ時、トラックがカーブを曲がり切れず、
後ろにクレーン車を走らせて、カーブのたびに、吊り上げて、またトラックに戻してを繰り返して、山から降ろしたそうです。
最後は、池にかかる廊橋の天井、両端にほどこされた、虫たちです。




見逃してしまいそうな場所にあり、そこも虫らしく、日本らしいかもしれません。
京都迎賓館特集を5回にわけて、ご紹介しました。
実際の場に行って、いいものを見て感動する、そして、
それを手がけた人たちの思いを知ることで、さらに感じることに厚みが増すように思います。
また、それを感じに、そしてまだまだ見えていないところにほどこされた技を観に行ってみたいと思います。
ぜひ、現代の京の最高の匠たちの技と思いのつまった京都迎賓館に、足を運んでみてください。