京都迎賓館記~匠の心意気編~


京都迎賓館は、伝統の現代化、近代和風をベースに、建物と庭が一体化した「庭屋一如」の空間を目指してつくられました。

日本の文化の根は京都にあり、その地に建てるからこそ、最高の匠が情熱を持って創りあげた空間です。

心に残った匠の言葉

建物、庭ともに、完成時が最高というより、木材、庭の木々など徐々に環境になじんでくるので、

5年、10年たって、落ち着き、初めて評価できるものだということです。

今年で、14年目。ちょうど、なじんで、いい時期な気がしてきます。

そして、「ほんまもん」を残すことへのこだわり。

こういう時代だからこそ、「ほんまもん」をつくってくれる所としっかりお付き合いさせてもらい、できるだけいい仕事をしていきたい。

見えないところにどれだけ誠をいれるかが、われわれの仕事であり、50年、100年後には必ずそれが表に出てきます。

今だけでなく、長い長い目で見て、作っていく心。

よく、修復の仕事をされている職人さんたちは、同じようなことをおっしゃいます。

仕事のあとが残るので、未来の職人が見た時に恥ずかしくない仕事をしたいとか、逆に過去の仕事を見て感動するとか。

時代を超えた職人同士の競い合い、想像のつかない世界です。

そして、やはりどの匠も、一生に一度の仕事で、眠れない日々、うなされる日々を送られていました。

最高の技を持つ匠でも、だからこそかもしれませんが、ひとつの仕事にかける思いが伝わってきます。

そう思って、細かなところをみると、本当に見えない、気付かないところまで、細心の注意や配慮がなされています。

まだまだわたしには見えていないだらけだと思います。

でも、ものすごく手をかけながらも主張しない、目立たないからこその安堵感は、和食など日本のものに共通しているように思います。

そういうところを大事にできる人間でありたいと思います。