あらためて見上げてみよう京都タワー


京都駅を出て、見上げると、京都タワーがそびえたっています。

何気なく通り過ぎてしまいますが、あらためて見上げてみると、調べてみると、いろんな発見がありました。

京都タワーのはじまり

京都中央郵便局の移転が決まり、その跡地の活用が検討され、
産業・文化・観光の一大センターを確立しようと「株式会社京都産業観光センター」が設立されました。

余談ですが、2019年3月にオープンした四条烏丸の京都経済センターも、

京都の経済団体などが集結しており、似たような感じがしますね。

当初は、タワーの建設までは想定されていなかったようですが、

京都にシンボルとなるタワーがほしいという要望があり、巨大なタワーが建てられることがわかりました。

そして、1963年に建設がはじまり、翌年の東京オリンピックに合わせて完成をめざしました。

しかし、京都では、「東寺の塔よりも高いものは建てない」ことが不文律となっており、

日本を代表する文化人たちをはじめ、古都の景観を乱すと建設の反対運動が起こりました。

それでも、建設は進み、結局、東京オリンピックには間に合いませんでしたが、1964年のクリスマスに竣工しました。

この京都タワーの設計者は、日本武道館も設計した山田守。

この人をしらべてみると、同じ高校出身の大先輩だとわかり、びっくり!

そう思うと、親近感がわいてきます。

京都タワーのカタチ

高さは131mで、白い円筒形をしています。

わたしはずっと、京都はお寺が多いので、ろうそくをイメージして作られたのだと思っていたのですが、

灯台をイメージして作られたそうです。

登った時に見える景色より、下からどう見えるかを大事にされ、

当時の流行だったエッフェル塔のような形ではなく、茶筒のような円筒形になりました。

塔は下にいくと少し広がる美しい曲線を描いていますが、

これは、山田守がフリーハンドで引いた曲線が採用されています。

色は、開通したばかりの東海道新幹線と同じ、ミルキーホワイトに、

京町家の瓦葺きを海に見立てて、海のない京都市の街並みを照らす、

どこからでも目印になる灯台をイメージされました。

世界一高い「無鉄骨建築」

京都タワーは、骨組みのない「モノコック構造」を大規模な建造物として世界で初めて採用した建造物です。

モノコック構造は、筒状の塔体で力を受け止め、全体を支えるもので、飛行機や船、カニ・エビと同じ仕組みです。

山田守の言葉

京都タワーを巡り、景観論争となった中、設計した山田守の言葉を最後に記しておきます。

「京都には現代のわれわれがどうしても触れてはならぬ部分があるのだ。

 しかし、残りの部分は生きている都市としてわたくしたちが作っていかなくてはならない。

 新しい京都はその背後にあくまで古い京都を静かに横たえているものであり、

 新しい京都そのものも、古い美しさの変形にすぎないのだ。」

次は今の京都タワーの楽しみ方について紹介します。