先日、京都、有斐斎弘道館にて開催中の京菓子展にお客さまをご案内しました。
今年のテーマは、「万葉集」。これをテーマに、京菓子のデザインや実作が一般公募され、優秀作品が一同に並びます。
この展覧会では、優秀作品の京菓子を、お抹茶とともに実際に食べることもできます。
お客さまから、「お菓子が美味しかった」、「お抹茶が美味しかった」という声をたくさん聞きました。
その時、わたしは、プロの職人さんが厳選された材料から作っていらっしゃるからとか、
お茶も、お水も美味しいからだという説明をしました。
それはそれで、本当のことで、それがないと美味しくは感じられないと思います。
でも、それだけじゃないということにも気付きました。
それは、その時、説明やお話をしてくださったことや、その空間(しつらい、気温、明るさ、お庭の景色など)、
お菓子やお抹茶の点て方、出し方、温度、器、
その時を共にした方々、自分の心持ち、おなかの具合などなど、
いろんな要素が組み合わさって、「美味しい」という言葉に集約されたように思います。
特に、この時は、ほとんどの方がお着物を着ていらっしゃり、亭主側の方々もお着物で、そんな場の雰囲気もあったように思います。
一座建立という言葉がぴったり合う時間でした。
これは、先日コラムに書いていた、パティシエの小山進さんの本の中に、ケーキの周辺を考えるという話があり、
そこから、おいしさの周辺へ、考えが及びました。
美味しいというと、ストレートにそのものだけに目が行きがちですが、
「誰」と「何」を「どのように」食べるか、そこにも、美味しさの秘密があるように思います。
そう思うと、多彩な美味しさのもとが存在し、その組み合わせもまたさまざまで、
時を考えれば、一期一会です。
その時々を大切に、美味しさを味わい、共にしていきたいと思うばかりです。
こんな京菓子展を満喫するイベントを企画しました。一緒に見に行きませんか?